フェロモンでオナニーしたかセックスしたか女はわかる
「男はみんなむっつり、体育の時絶対エロい目で女を見てる、やることばっかり考えてて気持ち悪い」
などなど、言ってることは事実だが、男を見下した態度が俺は気に食わず
「お前だって昨日オナニーしたくせに」
って、ぼそっと言ってやった。
そしたら顔を赤くして「ぐひい」とか言いやがった。
図星かー。
オナニーしてんじゃねーの、と軽くカマかけてからかうだけのつもりだったんだが。
「昨日」という、意味もなく出てしまった言葉が大当たりだった(らしい)もんだから、混乱したみたいで。
してるってバレただけでも恥ずかしいのに、何で昨日したってわかるの、みたいな感じか。
「しとらんよバーカバーカ!」と慌てて言ってきたがもう遅い。
とりあえずおとなしくなったので良しとした。
かわいくも何ともない女なので、オナニー姿を想像しようとか、一切思わなかった。
しばらくして、この話がどこから漏れたのか、ゆたか(俺)にはオナニーしてる女がわかるらしい?という噂が、一部の男子の間に流れていた。
「何でわかるんだよ」とか聞かれて、何だかおもしろいので適当に話を作った。
バカな男どもは嘘だろうがほんとだろうが、エロ妄想で盛り上がれればいいんだろって思ったので。
「フェロモンでわかる。フェロモンとはエロいにおいのことである」
「オナニーかセックスした翌日の女は、においでわかる」
「処女でもオナニーしてればエロいにおいがする」
とか適当に話してたわけだが
「わかるわけねーよ」
「いやでもほんとだったらすげー、」などとみんなは盛り上がり始めた。
信じられんけど、でも信じてみたいって感じだった。
ちなみに俺も含めてみんな童貞。
俺は唯一、一時期彼女がいたことあるので、その仲間内では女を比較的よく知ってるやつだと思われてた。
男の1人(”A”)が、委員長♀はどうなのかな、と聞いてきた。
(”A”)はまじめでかわいい委員長♀がちょっと気になってるらしい。
俺から見ても確かにまあまあかわいい。
でもあのまじめちゃんはまだエロとは無縁じゃね?と思ったが、その委員長♀が昨日学校帰りに、男と歩いてるのを(”A”)は見たという。
「彼氏なんかな、その男と昨日やったんかな、ゆたかにはわかるんだろ、教えれ」と言われた。
俺がどう答えたところで、嘘か本当か確かめようがないだろうに…まいったなあ、と。
「いや、こういうのは、かなり近づいてニオイくんくんしないと、わからんから」
と逃げようとしたんだが。
みんなは、じゃあくんくんして来ればいいだけじゃん、と俺をけしかけた。
…墓穴を掘っちゃった。
こいつら絶対、俺が適当に嘘言ったのをわかってて、からかってるんだな、ということにようやく気付いた。
ただ(”A”)だけは、期待と不安が入り混じって本気でドキドキしてるみたいだった。
移動教室の前の休み時間、委員長♀を含めてまだ何人かが残ってる教室に、俺は投入された。
みんなは廊下から見守ってた。
座ってる委員長♀の後ろに近付いて、髪は長いけどしばってあるから丸見えになってるうなじ、の辺りをくんくんした。
汗とシャンプーか何かのにおいがして頭がぼわーってなった。
そしたら急に委員長♀が振り向いた!
すごい近くで目と目が合った。
「ゆたか君!何っ??」
やべー。
思わず廊下のほうを向いて助けを求めようとしたが、みんな逃げてた…あいつら…
委員長♀は、まだ俺の顔をじーっと見ていた。
何これ、こんなにかわいかったっけ、どきどきする…。
やべー。逃げたい!
しかし(”A”)のためにも、俺はなんらかの答えを出さないといけない。
今思えば(”A”)には適当に、委員長♀は昨日やってないよ~、エロいにおいしなかったよ~、と言えば済んだ。
でもテンパって「あのー、あのー、」しか言えないまま固まってしまった。
しかも気付くと、教室に残っていた何人かの生徒が、こっちに注目してる!
まだ俺を見てる委員長♀、恥ずかしくて目を合わせられない俺。
ようやく出た言葉は、
「いいいい委員長♀って彼氏いるの?」だった。
その答えを(”A”)に伝えれば、とりあえず最低限の任務は果たせるだろーって思ったから。
ところが周りでは
「ゆたかが委員長♀に告白したーっ!!」って騒ぎに!
え?え?え?
委員長♀「あ、あ、あの、あの、私も好き…」
え?え?え?
これが馴れ初めになってしまった…。
もちろんあとで(”A”)に知られた。
(”A”)たちが逃げたせいで変な流れになったんだから、俺わるくない!と言い張ったが、最初にバカなウソついて墓穴掘ったのも俺なので、強く言えず。
委員長♀に、あれは誤解ですほんとは好きじゃないです、とも言えず、何となく付き合うことに。
でもかわいいし、頭もいいから話も面白いし、俺はすぐに委員長♀を本気で好きになった。
クラスメイトには告白の顛末からバレバレだし(”A”)には恨まれるし、恥ずかしいのと罪悪感で肩身の狭い毎日だった。
(”A”)は「俺もともと委員長♀にベタ惚れだったわけじゃないし、まあ許すよ」
「その代わり委員長♀とヤったら、事細かに報告すべし、おかずにしたい!」
と言われ、俺は意地でも、(”A”)と合わずに済むようになる卒業までは、委員長♀とするまい、と決めるしかなかった。
黙ってても雰囲気でバレそうだから。
キスもしなかった!
彼女なりの、控えめでかわいらしい萌エロフラグの数々をぶち折り、ようやく卒業後にキスとHを同時に達成した夜、ベッドの中で、あの日の告白の真相を告げた。
すると彼女「そうだったのかー!男ってバカだな(笑)でも結果オーライ」
彼女「で、どうだった?分かった?」
俺「何が?」
彼女「私が前の日に…ひとりでしてたかどうか」
俺「エッチなにおい分かるのは嘘だって言ったじゃん」
彼女「多分今と同じにおいしてたと思うよ…」
え?え?え?
くんくん。
終わり。